• 舞台「ベター・ハーフ」制作会見 レポート
  • 「ベター・ハーフ」の制作会見が、1月21日にニッポン放送イマジンスタジオで行われました。司会は、ニッポン放送上柳昌彦アナウンサー。すでに4人のキャストと演出家の相性の良さが伝わってくる、和気藹々とした会見の様子をお届けします!

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    上柳:まずは、ご挨拶をお願いいたします。

    風間:今回の舞台は、今ここに居るのが全キャストであり、鴻上さんに演出して頂きます。この面子が横に並んだだけで、必ず面白いものになるという確信があります。なので本当に多くの人に見て頂けるようがんばりたいと思いますので、よろしくお願いします。

    真野:こういった舞台は私もなかなか経験したことがなく、実はまだ台本もできていなくて、どうなるのかは本当にわからないんですけども(笑)。せっかくこのメンバーの中に私が入れたので、何かしら自分の色を添えられるように、がんばりたいと思います。よろしくお願い致します。

    中村:“なかむらなか”と書きまして、上から読んでも下から読んでも中村 中です。これお約束なんで必ず言ってるんですけど、さきほど楽屋で、「中村 中って本名なの?」という話になったんです。“なかむらなか”と書いて、本名です。皆さんにも聞いたら、風間さんも真野さんも片桐さんもみんな、文字も含め本名なんですよね。鴻上さんもね、本名だって。4人しか出ない舞台ですけど、みんな本名だからっていうか、なんのウソもなく、ぶつかり合える皆さんなのかなと思っております。そこがとても楽しみです。よろしくお願いします。

    片桐:普段はお笑いをよくやっておりますが、こういう4人舞台は密にやりあうお芝居です。ウソがないって(中村さんは)おっしゃいましたけど、けっこう“ウソ”がテーマになったりするので、そのあたりも見て頂くお客さんに体感してもらいたいですね。誰に共感するんだろうとか、あると思いますので。そのあたりも、稽古でがんばって作っていきたいと思います。よろしくお願い致します。

    鴻上:昨今、とても世の中がギスギスしていて、不寛容な時代に、人間と人間をつなぐ愛っていうのをちゃんと描きたいなと思ったんですね。もちろん愛を、恋愛を描くんですけど、それは恋愛そのものというよりも、恋愛と自分の人生とか、恋愛と仕事とか、結局、人間と人間がつながる一番基本的な“好き”と“嫌い”という感情を、僕たちはどうやってつないでいけばいいのかっていうのを描いていきたいです。“ベター・ハーフ”という言葉は、最近は割と英語圏で言われる言葉になってきたんですけど、ボーイフレンドやガールフレンド、ハズバンドやワイフっていう言葉の代わりに、“マイ・ベター・ハーフ”っていう言葉を使うようになってきているんです。自分の巡り合うべき存在というのが、昨今は男女問わずなので、その巡り合うべき存在と、どういうふうに関係をつないでいったらいいのかっていう話を、このメンバーなので、たぶん深刻になるだけではなく、刺激的に、楽しく、艶やかに、笑えるような感じで、踊りも入れたいと思っています。(キャスト驚く)はい、踊りも入れたいと思っています。中村さんには歌も歌って頂きたいと思っています。それも含めて、すごく楽しく、でも愛の深みまでたどり着けたらいいなと思っています。ご期待ください。

    上柳:では、改めて、“ベター・ハーフ”という言葉について、なぜ今回は恋愛をテーマにしたのか、そして、すでに開かれているワークショップでどういうことをやってらっしゃるのかということをお伺いできますか。

    鴻上:もう、「ベター・ハーフ」については、しゃべってしまったのですが…(笑) “ベター・ハーフ”っていうのは、ギリシャ神話が由来で、もともと天国で一つだった自分の魂は、地上に降りてきたときに半分に分かれたって言われています。自分自身が尊敬できるもう一人の自分。自分とぴったり合う、もうひとつの存在という言い方を、英語圏で“ベター・ハーフ”と言われるようになったので、日本でもそのうち言う人が出てくるかなと思って、先取りしてタイトルにしてみました。
    恋愛は、ヘイトスピーチだとか対立だとか、憎しみだとかがすごく不寛容な時代にますますなっているんですけど、でも結局、人間と人間をつなぐのは、恋愛というか、“あなたのことを愛しく思う”という感情です。恋愛にも色々なタイプがあると思うんですけれど、その“愛しいと思う”という感情を、もう一回見つめようと思っています。若い男女と、中年のおじさんと、それからトランスジェンダーという、立場の違う4人がどんなふうにお互いにつながって、別れていくみたいなものが、良い意味でドロッドロに、楽しい意味であっけらかんと描けたらいいなと。
    ワークショップでは、4人それぞれに性格とか、色んな深い話を聞いたのと、まぁちょっと、遊んだりしました。

    上柳:風間さんが演じられるのは、20代後半の広告代理店のサラリーマンで、上司に頼まれて代理で行ったデートで、真野さん演じる平澤と言う女性に出会います。本当は惹かれてはいけないんだけれども恋に落ちてしまう役どころとお聞きしています。最初に鴻上さんからご出演のオファーを受けた時の感想と、今回演じるにあたって、チャレンジだなと感じている部分はありますか?

    風間:(会見の)最初に面白いものになると確信しているって言った理由は、今ここに登壇している人たちが、僕がお仕事をさせて頂く前から、好きな人たちが集まっているということなんです。なのでお話を頂いて、キャストの皆さんと鴻上さんっていうお名前を聞いた時に、単純に嬉しかったですね。自分の好きな人とこれから一緒に時間を過ごせるっていうのは、本当にありがたいなって思ったのが感想です。
    チャレンジだなと言うか、今ここに登壇して、鴻上さんがしゃべるたびに、「へぇ、そうなんだ」「あっ、踊るんだ」と思って(笑) 一回一回びっくりしているので、たぶんきっと、チャレンジはこれからたくさん出てくるんだろうなと思っています。
    ワークショップも、みんな役者っていうのをちょっとどこか携えながらも、ワイワイ遊んでるのがすごく楽しくて。エチュードみたいなのをやったんですね。片桐さんがプールに入っているっていうエチュードで、真野さんがそのエチュードに入っていくっていう時に、真野さんが「あの、すいません、プールの中で帽子被ってもらっていいですか。浮いてるんで」って(片桐さんに)言ったんです。エチュードなんで実際には何にも見えてはいないんですけど、でも仁さんの髪の毛がプールにぷかぷか浮いてる姿っていうのを想像して、僕は爆笑してしまって(笑) なんていうか、そういう、それぞれのセンスがこれからぶつかりあっていくんだろうなと思うと、大変楽しみな現場だなと思いました。

    上柳:真野さんが演じるのはちょっと難しい役どころで、デリバリーヘルスで働きながら芸能界デビューを目指している若い女性。彼女もまた、代理で行ったデートで、風間さん演じる諏訪と言う男に出会います。ご出演のオファーを受けたときの感想と意気込みをお聞かせください。

    真野:鴻上さんとは一年ちょっと前に、とある作品で共演させて頂いておりまして、その前にも舞台を見に行かせて頂いていたので、いつかお仕事できたらなぁ、演出してもらえたらなぁと思っていたんです。そしたらこんなにも早く決まって、とにかく嬉しかったですね。キャストの皆さんもとてもカラフルな方が多いので、その中で自分が何色を発することができるんだろうと、ちょっと不安もありつつ、だけど、皆さんの力もお借りしながら、すごい成長できるんだなと思います。
    ちょっと前にこの舞台の情報が解禁になったときに、“真野恵里菜デリヘル嬢を演じる”っていうタイトルだけが回ってしまって(出演者笑う)。 そういう言葉って反応されるんですけど、平澤っていうのは自分の夢を叶えるために本当にがんばっている子でもあります。愛も表現したいし、誤解を招く言葉がいま出回っているので、平澤の人間味と言うか、そういう部分も伝えていきたいなと思います。

    上柳:ぜひ劇場に足を運んで頂き、どう演じるか見て欲しいですね。

    真野:私もそういうシーンが実際あるのか無いのか、今まったくわからないので(笑)ほんとにドキドキしていますね。

    上柳:今回中村さんが演じるのは、トランスジェンダーの元中学校の音楽の先生です。最初に鴻上さんから、小早川汀というキャラクターについて聞いた時の感想を教えてください。

    中村:私は男として生まれて女として生きておりますが、実体験が近道になるとも思うんですけど、遠回りにもなるかなって思うんです。自分が見てきた景色と、小早川が見てる景色には絶対差はあると思うので。そこは体験したこととか、先入観にとらわれず、やっぱりキャストのみなさんと、鴻上さんと一緒に役作りしていくのかなと思っているので、その辺は実体験に惑わされないようにしようって思いました。

    上柳:片桐さんが演じるのが、またちょっと面白い、難しい役です。風間さんが演じる諏訪と言う男の上司で、出会い系サイトで中村さん演じる小早川汀と知り合い、心惹かれていきますが、諏訪の写真を「自分です」と言って送ってしまうところから物語がうわーっと動き出します。オファーを受けたときの感想と、3人の役者さんと一緒に演じられる4人劇への意気込みをお願い致します。

    片桐:鴻上尚史さんと言えば演劇界の重鎮でございますし、ぼくも本は何冊も読ませて頂いていました。去年、映像で呼んでいただきまして、演劇もやりたいなぁと思っていたら、これでお声をかけて頂きまして。ほんとに勉強になることしかないです。お笑いで(キャリアを)始めてきたので、舞台演劇の基本みたいな、基本と言ったらおかしいんですけど、「こういう考え方がこうだよ」というのを、理路整然と習ってこなかったのがコンプレックスになっているんです。こういう経験がしたいなと思っていたことが実現して、光栄なことだなと思って、喜んでいます。
    あとこのメンバーですよね。メンバーに関しては、なんの心配もしておりません。ぼくが一番年上なんですけど、ワークショップをやっても、ほんとに皆さん堂々とやりますし、ほんとにこう、すごいところに来ちゃったな思いました(笑)。ほんとにあの、助けてもらいたいんです、ハイ(笑)

    上柳:最後に皆さんから一言ずつお願いします。

    風間:難しいことはなにもなく、感じて頂ける作品だと思うので、ぜひともみなさん劇場に足を運んで、見ていって、楽しんでもらえたらいいなぁと思います。よろしくお願いします。

    真野:このキャスト、この作品に運命を感じています。見に来て下さった方に、幸せな気持ちだったり、色んな感情をちゃんと届けて、いつまでも心に残る舞台にしたいなと思っておりますので、ぜひ劇場に足を運んで下さい。よろしくお願い致します。

    中村:“ベター・ハーフ”っていうのはどういうものなのかなって考えてきたんですけど、人間優しくないと、運命の人に会っても逃す可能性もあるかなって思うんです。なので、どんな人でも抱きしめられるような人間でいれば、ベター・ハーフに自然と知り合えるのかなと思うので、劇場に来る際にはぜひ、抱きしめたいなと思っている人を連れて、遊びにいらしてください。

    片桐:良いコメントですね~(笑)

    中村:(笑) ありがとうございます。

    片桐:誰が見ても面白いものになると思うので、親子とか、孫とか(笑)。 あ、家族とか。舞台を見たことない方にも、ぜひ見てもらいたいです。本当に楽しいものになると思うので、ぜひ来てください。

    鴻上:もちろんベター・ハーフといらっしゃるのもいいし、一人でもぜんぜん大丈夫です。さみしい方も、愛を求めている方も、愛に飢えている方も、ぜひいらして下さい。幸せになる時間を差し上げたいと思います。